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広島地方裁判所 平成5年(わ)373号 判決 1993年9月21日

国籍

大韓民国(全羅北道任實郡三渓面鶴亭里)

住居

広島市安芸区中野東六丁目四四番九-七号

中古自動車等販売業

富春こと 嚴勝士

一九四四年八月一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官濱田毅出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、広島市安芸区上瀬野町八〇七番地一において、「西部自動車部品」の名称で中古の大型自動車販売等の事業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して架空名義の預金口座を設定したり、借名義による有価証券取引を行うなどの方法により所得の一部を秘匿した上、

第一  平成元年分の実際の総所得金額が六七三三万六五〇一円で、これに対する正規の所得税額が二八九〇万八〇〇〇円であるにもかかわらず、平成二年三月一二日、広島県安芸郡海田町大正町一番地一三所在の所轄海田税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が一二九一万一三五七円で、これに対する所得税額二六二万六〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告所得税額との差額二六二八万二〇〇〇円を免れ

第二  平成二年分の実際の総所得金額が五二〇七万七七一三円で、これに対する正規の所得税額が二一二二万九〇〇〇円であるにもかかわらず、平成三年三月一二日、前記海田税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が一四〇七万五一六九円で、これに対する所得税額が三〇八万七二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告所得税額との差額一八一四万一八〇〇円を免れ

第三  平成三年分の実際の総所得金額が三六二九万八六〇一円で、これに対する正規の所得税額が一三三六万三五〇〇円であるにもかかわらず、平成四年三月一六日、前記海田税務署において、同税務署長に対し、平成三年分の総所得金額が一四六二万二四六一円で、これに対する所得税額が三二九万八〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額と右申告所得税額との差額一〇〇六万五五〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通(検62ないし64、66号)

一  喜花隆(検46号)、田中実(検47号)、川原芳之(検48号)、山田孝こと尹孝(検49号)、常田範夫(検50号)、金沢正之(検51号)、文山東一(検52号)、藤川尚徳(検53号)、立石義彦(検54号)、山田富江(検55号)及び富春こと尹時江(検56号)の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の現金調査書(検2号)、預金調査書(検3号)、有価証券調査書(検4号)、受取手形調査書(検5号)、売掛金調査書(検6号)、たな卸商品調査書(検7号)、前払費用調査書(検8号)、預け金調査書(検9号)、土地調査書(検10号)、建物調査書(検11号)、構築物調査書(検12号)、機械装置調査書(検13号)、車両運搬具調査書(検14号)、工具器具備品調査書(検15号)、敷金調査書(検16号)、出資金調査書(検17号)、ゴルフ会員権調査書(検18号)、保証金調査書(検19号)、繰延資産調査書(検20号)、事業主貸調査書(検21号)、買掛金調査書(検22号)、支払手形調査書(検23号)、未払金調査書(検24号)、未払給料調査書(検25号)、借入金調査書(検26号)、事業主借調査書(検27号)、元入金調査書(検28号)、事業専従者控除額調査書(検29号)、申告事業所得金額調査書(検30号)及び社会保険料控除調査書(検31号)

一  検察事務官作成の捜査状況報告書(検57号)

一  元年分の所得税の確定申告書一通(平成五年押第八四号の1)

一  平成二年分の所得税の確定申告書一通(平成五年押第八四号の2)

一  平成三年分の所得税の確定申告書一通(平成五年押第八四号の3)

判示冒頭の事実について

一  被告人の検察官に対する供述調書(検60号)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検32号)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検33号)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検34号)

(法令の適用)

一  罰条

いずれも所得税法二三八条

二  刑種の選択

いずれも懲役刑及び罰金刑を選択

三  併合罪の加重

懲役刑について 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に加重)

罰金刑について 刑法四五条前段、四八条二項

四  労役場留置

罰金刑につき刑法一八条

五  執行猶予

懲役刑につき刑法二五条一項

(裁判官 野島香苗)

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